長良川の支流・板取川に寄り添う上牧・下牧地区。ここが美濃和紙の里です。板取川の冷たい水にさらされた原料の楮(こうぞ)が白く川面に揺れ、晴れた日には板干しの紙が並ぶ眺めは美濃市ならではの風情が漂います。ここでは原料の楮の質がとても良く、またたくさん採れます。そして他の紙に比べ丈夫で美しいため日本だけでなく、海外でもその良さが認められています。
美濃和紙は楮(こうぞ)の繊維から作られ、この繊維を箕コテの上で縦・横に揺り動かします。こうして漉くと繊維が絡み合い、薄くても丈夫な紙が出来上がります。本美濃紙は、美濃で作られる紙の名前だけでなく良質な紙の代名詞にもなっており、国の重要無形文化財に指定されています。
楮(こうぞ)の木の皮をむいて白い皮にします。そして川の浅瀬を石で囲い、川の中に白皮を並べて水と日光で自然に白く晒します。
さらした白皮を大きな釜に入れ、やわらかくなるまで(2~3時間程度)煮ます。
煮てやわらかくした白皮に残っているごみ(ちり)やきずを一本一本ていねいに取り除きます。
ちりとりをした白皮を石の上で、2本の木槌(きづち)で叩いて細かくほぐします。
細かくほぐした紙料(しりょう)と水、トロロアオイ(ねべし)の根の粘液(紙料を水中で均等に分散させる働きがある)をよく混ぜ合わせて簀桁(すけた)で一枚一枚すき上げます。
一枚一枚すき上げた紙を積み重ねたもの(紙床:しと)を上から圧力をかけて水をしぼりだします。
干し板(栃の木など)に圧搾した紙を一枚一枚ていねいに刷毛を使って張り付け、日光で乾燥させます。
乾燥させた紙を1枚一枚光に透かして厚さや色の違い、きずなどを丹念に見て分類選別します。
選別した紙を用途にあったサイズに包丁で切り、最後に包装して完成です。